今回考えてみたいのはインデックス投資や米国株などさまざまな投資家に必須の考え方である「生活防衛資金」についてです。
私は投資を始めてからつねにこの生活防衛資金を確保することを考えてきました。
現在では必要とされる以上の生活防衛資金をたくわえることができ、安心して投資をすることができるようになりました。
しかしながら現在、その考え方から卒業しようと思っています。
なぜわざわざ投資資金から退避させた生活防衛資金をキープするのをやめるのか、そして生活防衛資金をたくわえる意義についてあらためて考えてみる必要性は何なのか?
これらについて改めて考えてみる必要を感じてきました。
それではこの生活防衛資金の考えについて、整理してみましょう。
生活防衛資金について
生活防衛資金とは
インデックス投資家を中心に提唱されるのが「生活防衛資金」という考え方です。
これは投資資金とは別にキープしておくお金で、以前破綻した日本振興銀行の社長だった木村剛さんの著書「投資戦略の発想法」という本で提唱されました。
いままでの生活水準を落とさずに暮らしていけるだけの資金を準備しておかなくてはならないわけです。
いざ、会社がつぶれても枕を高くして寝られる安心感を確保するためにこれは絶対に必要なおカネです。
この資金のことをこの本では「生活防衛資金」と呼びます。
木村剛著「投資戦略の発想法」講談社刊 より引用
つまり
どのような経済的な災害(勤めている会社の倒産、市場の混乱など)が襲ってきてもある程度の期間は生活レベルを落とさずに暮らしていけるだけの資産を投資するお金とは別にもちなさい
ということをこの本では提唱されています。
どのような金融商品で確保するの?
この生活防衛資金はどのような金融商品でキープしておくべきなのでしょうか。
優先順位としては以下のようにしておくのがベストだと思っています。
- ゆうちょ銀行(郵便局)や銀行など実際に店舗がある金融機関への預貯金
- ネット銀行の預貯金
- 場合によっては個人向け国債(変動10年)
実際に店舗がある金融機関への預貯金が生活防衛資金のキープ先としてピッタリと考えるのには理由があります。
それは、自然災害などでATMが使えない場合にも対応してもらえるからというもの。
実際に店舗がある金融機関の場合、預金通帳や印鑑、それにキャッシュカードを紛失したとしても、20万円程度の少額ならば身分証明書があれば引き出せるからです。
私たちが見舞われるのは経済的な災害ばかりではありません。
自然災害も十分被害を受ける可能性があります。
そのときに最も大切なのは現金です。
ネット銀行の預金はATMが稼働していないと引き出すことはできません。
通常は利便性の高さからネット銀行は非常に便利なのですが、自然災害のときには途端に不便な金融機関になってしまいます。
そのため、実際に店舗がある金融機関の普通預金にあずけておくのが重要ですね。
生活防衛資金をどのくらい確保するか
経済的な災害から自分や家族を守るために必要な生活防衛資金。
どれだけキープすればいいのでしょうか?
次に問題となるのが生活水準を落とさずに暮らしていけるのに必要な期間についてです。
木村さんが提唱されている期間はなんと2年分の生活費。
この「投資戦略の発想法」が発刊してから20年近くになるのですが、
2年分の生活費を確保することができる金額はインデックス投資家のあいだでは生活防衛資金をどのくらい確保するか議論するになっているように感じています。
さまざまなファイナンシャルプランナーや専門家の方もこの考え方自体は支持しておられます。
ただ違うのは生活水準を維持するのに必要な期間についてです。
この幅は広く、短い期間の方では3ヶ月でいいという方も。
対して木村さんの2年間はもっとも長い期間といえます。
私はこの考え方に賛同してまずは投資活動をはじめる前に生活防衛資金を蓄えることから資産づくりをスタートさせました。
それと並行してインデックスファンドに投資をしていきましたが生活防衛資金を確保するのを優先させていきました。
そのため資金の増え方はゆっくりでしたが着実に育っていきました。
そうしているうちに生活防衛資金は生活費の2年分に達し、さらに投資資金も増えていきました。
ここで新たな疑問がわきおこっていきます。
それは・・・
ある程度資金が増えたら生活防衛資金の考え自体不要になるのでは?という考えが。
投資する金額が増えると考え方も変わる
インデックスファンドを中心として投資していく場合、基本的にはアセットアロケーションを決定して投資活動を行います。
リスク、リターンを計算してさまざまな資産にお金を託しています。
これは人それぞれの考え方もあり株のみに投じることも立派なアセットアロケーションを構築しているといえます。
これによりある程度は自分の資産がどのくらい変化する可能性があるのかを予想することができます。
この数値を実感するのも現在はさまざまなサイトによりシミュレーションできるようになっています。
そこで私が感じていることは
リスク資産(株や投資信託など)が半減しても2年分の生活資金以上確保できたら
生活防衛資金の考え方自体不要になる
ということです。
資金が少ない時にはいのちのお金
新入社員など投資活動を始めた時にはほとんど資産はありません。
この時期に資産づくりを行う場合には、起こりうる経済的な災害に見舞われても耐えられるよう生活防衛資金をキープしていくのを優先していくべきです。
投資をしたとしてもその金額が少ないためにリターンを得たとしてもたかが知れています。
10万円投資してラッキーなことに倍になったとしても20万円です。
一方で半減したとしても5万円です。
それならば利息などはないという前提の上自分を守るためのお金である生活防衛資金を蓄えることが必要です。
ただこれならば貯金をしているだけですので、並行して少しのお金をインデックスファンド購入にあてることで市場の動きを学んでいくことも必要です。
増えてくると必要性は減少していく
資産が増えていくと生活防衛資金の考え方の大切さを認識していきます。
1ヶ月30万円で生活している場合確保する必要がある生活防衛資金は24ヶ月分で720万円にのぼります。
2年間生活水準を維持していけるだけの金額とはこれだけ必要です。
そしてさらに増えていき、資産が1,500万円を超えてきたとします。
その時点では株式などのリスク資産が半減しても750万円で必要な資金は確保できます。
つまり必要なお金は必要なときにリスク資産もあわせて確保すればいいのではという考え方が出てきます。
現在の私がこの状況なのです。
逆に生活防衛資金の存在が私の運用効率を下げていると感じています。
財布を分けないで資産全体で見ていく大切さ
経済的な災害が起こっても最低限の生活防衛資金くらいの資産はキープすることができるようになった現在、
私はそろそろ生活防衛資金の考え方を卒業する時期だと実感するようになりました。
リスク資産が想定の倍の損失が発生しても生活防衛資金の金額を上回る場合には、
運用待機資金や預貯金等を一つのアセットとして組み込むことで運用効率が向上することが期待できます。
今までは生活防衛資金いう「別の財布」を持っていたのですが、
これを「一つの財布」で運用していきます。
私の資産は現在のところ生活防衛資金として個人向け国債や預貯金を確保しています。
これを待機資金として位置付けてリスク資産が暴落した際の追加購入資金として活用していきたいですね。
しかしながら、生活防衛資金一気にリスク資産へ投じることは抵抗感を感じています。
インデックス投資で行っているバリュー平均法で計算した資産の増え方(バリュー経路)より実際の資産が少ない場合、
個人向け国債や預貯金を追加投資していくことでリスク資産主体の資産へと変化させていきます。
個人向け国債は中途解約もできますので徐々にリスク資産へ移行する計画を立てています。
そしてお金が必要になったときにはまず預貯金等の無リスク資産を活用し、
それでも足りない場合にはインデックスファンドを必要な金額分解約することで対応していきます。
まとめ
生活防衛資金という考え方は、投資家にとって必要不可欠な考え方であることは今でももっています。
しかしながら、ある程度資産を築くことができた場合にはその考え方から卒業することを考えることも必要ではないかと思っています。
この生活防衛資金の考え方から卒業できるかどうかは以下の問いに答えが出てからがいいと思いますがいかがでしょうか。
相場が暴落した時もぐっすり眠ることができますか?
眠ることができるのならばリスクに対する考え方も確立しているために卒業できますし、
そうでなくて相場が気になって仕方ない場合は生活防衛資金をまだまだ積み立てる必要があります。
そう考えれば考えるほど生活防衛資金の考えは深い問題だなと考えさせられるのです。
では、またよろしくです!
コメント