最近新しいインデックスファンドが登場したとしても心がときめかなくなった私なのですが、久しぶりに心がときめいてしまったファンドが登場しました。
それが楽天投信投資顧問が有価証券届出書を提出した新ファンド楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)<正式名称:楽天・全世界株式インデックス・ファンド>です。
このファンドがあると若干のコストアップというデメリットがあるもののほとんどの方は海外ETFを買う必要がなくなってしまうというすぐれものです。
なぜ私がこのファンドに心がときめいてしまったのかを書いてみたいと思います。
2018.12.12更新
楽天・全世界株式インデックス・ファンドが愛称として「楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)」をネーミングしましたので、ブログのタイトルも愛称で表記するとともに、基準価額や販売会社の情報を更新しました。
2018.9.23更新
第1期決算を迎え、運用報告書が発行されましたので、その結果を掲載しています。
2018.8.4更新
ファンドの資産額や取扱販売会社等を新しいものに更新しました。
取扱販売会社はいぜんと比較して増えています。
楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)はここがすごい
私がこのファンドすごい!と感じた理由をいくつかあげてみたいと思います。
- 海外ETFのVTがインデックスファンドとして投資ができる
- コストが激安
- ETFとインデックスファンドのいいとこ取り
では、それぞれの理由について考えてみます。
海外ETFのVTがインデックスファンドとして投資ができる
以前から日本を含む(ここ大事!)全世界の株式に投資することのできる海外ETFとしてザ・バンガード・グループ・インクのETF「バンガード®・トータル・ワールド・ストックETF(ティッカー:VT)」があります。
VTって?
ここでVTとはどのようなものかご紹介します。
バンガード®・トータル・ワールド・ストックETF(ティッカー:VT)はアメリカのザ・バンガード・グループ・インクが設定・運用しているETF(上場投資信託)のことです。
ベンチマーク(指標)はFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスを採用しています。
このベンチマークの特徴としては
- 全世界の大型株・中型株・小型株をカバーしていること
- 先進国から新興国まで47カ国約8,000銘柄で構成されていること
- 全世界で投資可能な市場時価総額の98%以上をカバーしていること
があげられます。
純資産総額は124.22億米ドル(約1兆3,700億円:2018年8月現在)で、国別の投資割合は以下のようになっています。
国名 | 割合 |
---|---|
アメリカ | 53.3% |
日本 | 8.0% |
イギリス | 6.0% |
カナダ | 3.2% |
フランス | 2.9% |
ドイツ | 2.9% |
スイス | 2.8% |
オーストラリア | 2.5% |
中国 | 2.2% |
韓国 | 1.7% |
このように1本のETFで先進国から新興国までの大型株から小型株までの投資をこれ1本でOKというシンプルさからインデックス投資家の間では非常に人気のあるETFとなっています。
すごいETFだけど・・・
このようにこれ1本で世界中のほぼすべての株式をカバーできるというすごいETFのVTなのですが、日本で投資するうえでは大きな欠点があります。
これはアメリカのニューヨーク証券取引所で取引されていますので取引するためには海外ETFの売買ができる証券会社でドル決済で購入しなければなりません。
私も以前はこのVTに投資をしていましたが、現在では取引していません。
理由はいくつかあるのですが、もっとも大きな理由としてはこのドル決済があります。
これが通常のインデックスファンドとして事実上VTへ投資ができることはすごいと感じざるを得ません。
つまり日本円で通常の投資信託として気軽にVTを購入できるようになるわけですよね。
これってものすごく意義が大きいと思います。
日本を含む全世界の大型株から小型株までを網羅するVTがインデックスファンドとして購入することができれば国際分散投資をされる方にとってこれを選べばOKということになります。
コストが激安
楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)は以下のような信託報酬となっています。
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF | 年0.10%(管理報酬) |
楽天・バンガード・ファンド(全世界株式) | 年0.1296% |
実質的なコスト(2つのファンドの合計) | 年0.2296% |
もともとVTのコストが非常に安いことと、楽天側の取り分も控えめにしていることから全体的なコストもローコストインデックスファンド並となっています。
ちなみに対抗馬となるステート・ストリートの全世界株式ファンド「全世界株式インデックスファンド」の信託報酬率が0.48%ですので、ぶっちぎりのローコストとなります。
また、日本を含む全世界の中小型株に投資するSBIアセット・マネジメントのEXE-iグローバル中小型株式ファンドの信託報酬率が年0.3304%程度となっていますのでこれと比較してもコストが安いのは歴然です。
ETFとインデックスファンドのいいとこ取り
ETF,インデックスファンドそれぞれ長所や短所があります。
たとえばETFの場合、コストは安いけど積み立てができないこと、インデックスファンドの場合積立ができるがコストがETFと比較して高いといった特徴があります。
VTを購入する場合、1口単位で購入できるもののおよそ75ドルかかります。(2018年8月現在)
さらに取引手数料がSBI証券の場合5ドル必要となる上に日本円を米ドルに替えるためのコストも必要です。
為替コストも馬鹿にならないもので、通常の為替取引ならば1ドルあたり25銭のスプレッド(レートに上乗せされるいわば手数料のようなものです)がかかるため、
75ドル(VTの株価)+5ドル(取引手数料)=80ドル分のスプレッドは20円(25銭*80ドル分)となります。
これが100口分だと2,000円になってしまいます。
結構なコストだと思いませんか?
これを削減使用する方法としてSBI FXを利用した現引きという方法もありますが、
こちらは1万ドル(=約111万円 2018年8月現在)単位となりますので証拠金も事前に116万円(110*105%以上の証拠金が必要なため)必要ですから簡単にできるものではありません。
いっぽうで、インデックスファンドの場合にはこれらの手間が一切ありません。
現在ではネット証券では投資信託は100円単位で購入できるようになってきています。さらにすべての取引が円でおこなえるため、資産評価も簡単です。
ただ、利益に関わる税金の取扱が非常にあいまい(3重課税?)なところがあるのが欠点だとは思いますが、それが問題と感じられる方はVTを直接買い付けることをおすすめします。
インデックスファンドにしてもらうことで、買うのがめんどくさい海外ETFを少額から積立ができるように比較的安価な信託報酬で提供してくれるのはありがたいものです
ETFに投資する投資信託(厳密にはインデックスファンドとは呼ばないみたいですが・・)の仕組みは以前からあり、ライバルのSBIアセット・マネジメントのEXE-iシリーズが有名ですね。
ただこのEXE-i、全世界株式を網羅するものとしては中小型株のみで、大型株までカバーするものではありません。
対して楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)はVTの特色である大型株から小型株まで、しかも全世界株式を1本のインデックスファンドで取り扱えるようにしたのは画期的です。
ファンドの状況などについて
このファンドが登場しておよそ1年が経過しました。
その後さまざまな変化が起こっていますので、その概況をまとめたいと思います。
コスト面は思ったよりも高コストだった
2017年9月にリリースされた楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)が第1期決算を迎えました。
信託報酬に加えて、売買手数料など実際に掛かった費用を示す実質コストや純資産額は以下の通りとなっています。
期間 | 実質コスト(VTの管理報酬を含む) | 純資産額 |
---|---|---|
2017/9/29〜2018/7/17 | 0.502% | 105.63億円 |
第1期決算とはいえ、想定よりも実質コストは高いという結果となっています。
詳細につきましては、以下の記事に感想などを書かせていただきましたのでお読みください。
ファンドの状況
「楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)」が発売してから1年あまりが経過しました。
資産状況がどのようになっているかをまとめてみました。
資産額・基準価額などは以下のとおりとなっています。
日付 | 基準価額 | 資産額 |
---|---|---|
2018.3.2 | 9,816円 | 46.66億円 |
2018.8.3 | 10,590円 | 113.82億円 |
2018.12.12 | 9,785円 | 155.22億円 |
2018年2月,10月の株式の大幅の下落にもかかわらず、資産の増加は続いています。
現在は155億円と新規設定のファンドとしては短期間で安定した資産額をキープし続けています。
2018年3月の時点では、資産額が46億円あまりだったのが8月になると113億円あまりに。
2018年10月の株価が急落し、再び基準価額が1万円を割り込んだにもかかわらず、資産額は155億円あまりにふくらんでいます。
資産額減少による償還リスクは非常に低くなるどころか、インデックスファンドとしては十分すぎるくらいの資産額となっています。
販売会社について
登場当初は販売が楽天証券とマネックス証券のみでしたが、現在では増え、SBI証券など5社で販売されています。
取り扱い証券会社と取り扱い開始日は以下のとおりです。
販売会社 | 取り扱い開始日 |
---|---|
楽天証券 | 2017.9.29 |
マネックス証券 | 2017.9.29 |
SBI証券 | 2017.10.20 |
エイチ・エス証券 | 2017.10.31 |
立花証券 | 2017.11.10 |
松井証券 | 2017.12.21 |
ジャパンネット銀行 | 2017.12.22 |
岡三オンライン証券 | 2017.12.25 |
カブドットコム証券 | 2018.1.29 |
ソニー銀行 | 2018.3.9 |
GMOクリック証券 | 2018.3.10 |
フィデリティ証券 | 2018.5.16 |
栃木銀行 | 2018.7.2 |
損保ジャパン日本興亜DC証券 | 2018.11.1 |
保有ポイントについて
ネット証券で投資信託を保有している方にとっては気になる投資信託の保有ポイントですが、以下のとおりとなっています。
SBI証券:月間平均保有金額に関わらず年率0.03%
楽天証券:投資信託資産形成ポイント対象
マネックス証券:マネックスポイント対象外
楽天証券のiDeCoでも買えます
このようにすごい商品である「楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)」ですが、今話題のiDeCo(個人型確定拠出年金)で買えたらいいだろうなと思う方もいらっしゃると思います。
それができる証券会社が1社あります。
このファンドを世に送り出した楽天証券さんです。
楽天証券ならば、iDeCoでこの「楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)」を積み立てすることができます。
全世界の株式を1本でカバーできるシンプルなプランはiDeCoで積み立てるのもいいのではないかと感じました。
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year2017で1位に!
2018年初頭に開催された投信ブロガーが投票してどのファンドが素晴らしいかを選ぶイベント「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year2017」で1位に輝きました。
このイベントで選ばれるファンドはどれも素晴らしいファンドであるのですが、その中でも1位を受賞したということはそれだけすごいファンドであることがわかりますね。
もちろん、私も投票しました。
他の受賞ファンドも素晴らしいので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
強力なライバルファンドが登場した
登場したときには1強とも思われた日本を含む全世界株式インデックスファンド楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)なのですが、そうは甘くはありません。
eMAXIS Slimシリーズという超ローコストインデックスファンドをリリースしている三菱UFJ国際投信から新たにeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が登場しています。
こちらは楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)よりもさらにローコストのファンドとなっており、どちらが日本を含む全世界株式のインデックスファンドの勝者となってもおかしくありません。
詳しくは下記の記事をお読みください。
まとめ:株式インデックスならこれが一押し
今回は楽天投信投資顧問が設定する予定のインデックスファンド「楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)」についてお話ししました。
もし、これから投資信託を積み立てる予定の方にどのファンドがいいのかという相談を受けたとしたならば、このファンドを一押ししたいと思います。
若い方ならばこれ1本で十分ではないでしょうか。
2018年からスタートするつみたてNISAをにらんでさまざまなインデックスファンドがリリースされてきています。
もしこのファンドがつみたてNISAの対象となればぜひ少しでも投資してみてはいかがでしょうか。
今日の記事が参考になれば幸いです。
では、またよろしくです!
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