ネット証券では3番目にiDeCo(個人型確定拠出年金)を開始させたマネックス証券。
ライバルのSBI証券、楽天証券がシェア争いにしのぎを削るなかあえて参入したマネックス証券のiDeCoプランはどのようなものなのかを調べてみました。
するととても良いiDeCoプランではないのかと感じています。
この記事では、マネックス証券のiDeCoについて取扱商品や手数料などについて調査しました。
マネックス証券のiDeCoプランについて感じたこと
マネックス証券のiDeCoについて調べてみたところ、以下の点が印象に残りました。
- もちろんマネックス証券の管理運営費用は無条件でゼロ
- ファンドの選択がなかなか良い
- ロボアドバイザーが他社よりも良い
- 別サイトなのはNG
それぞれポイントについてみてみたいと思います。
管理運営費用は無条件でゼロ
ライバルのSBI証券、楽天証券と同様にマネックス証券も金融機関の取り分である管理運営費用は無条件で無料となっています。
後に手数料についてはお話ししますが、iDeCoは運用するためにはいくつかの手数料が必要です。
ただ、金融機関の取り分である管理運営費用は金融機関によって異なります。
これがゼロ円であるということは自分の資産から少しずつ削られていく手数料が少なくなることに繋がり、リターンの改善にもつながります。
私はiDeCoの金融機関をレビューするにあたってはこの管理運費用が無条件でゼロ円の金融機関をご紹介するようにしています。
ファンドの選択がなかなか良い
マネックス証券におけるiDeCo運用商品はリスク商品21種類、元本確保商品1種類の合計22種類です。
膨大なファンド数を誇るSBI証券や絞り込んでいる楽天証券よりもさらに少ないファンド数です。
ところが、選択している商品が参入が後発なだけにコストを抑えたものやあれがあったらいいのに、と思うような商品が取り入れられているのが良いですね。
たとえば、ローコストインデックスファンドではeMAXIS Slimシリーズやたわらノーロードなどで現状でコストが一番少ないものをセレクト。
さらにバランスファンドでは、8資産均等型の雄であるeMAXIS Slim8資産均等型を入れたのがすばらしいと感じました。
ロボアドバイザーが結構使える
管理運営手数料が無料なネット証券では、SBI証券と同様にマネックス証券もロボアドバイザーサービス備えています。
私たちのようなマニアではない方が少なくなったとはいえファンドの選択はなかなか難しいもの。
その手助けをしてくれるのがロボアドバイザーですよね。
私はあまりロボアドバイザーはあてにならないと思っている一人なのですが、
これを試しに取り組んでみたところ意外にも使えるなと実感しています。
結果は複数のファンドを適切に配分したプランがでてきました。
しかも設定したリスクが高いにも関わらずインデックスファンド中心のセレクトを。
リスクが高い分類にするとアクティブファンドを選択しようとする場合がありますが、マネックス証券はそうではなく、インデックスファンドをメインに紹介しているのが良いと感じました。
ライバルのSBI証券のロボアドバイザーはざっくりとしたアドバイスでしたので、マネックス証券ではロボアドバイザーを押しているのには納得ができます。
別サイトなのはNG
私は通常の証券サイトとiDeCoは一体であって欲しいと思っています。
ところが、マネックス証券のiDeCoサイトは別の管理運営会社(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー)のサイトとなっています。
後発なのにユーザビリティが欠けるのはいかがなものかと思ってしまいました。
その点では証券サイトからそのままiDeCoにいける楽天証券のほうがユーザビリティに勝ると思います。
iDeCoは管理運営会社による管理が必要なためこのような別サイト扱いになってしまうパターンが多いのですが、
サイトを改善するときには証券サイトからはそのままiDeCoサイトへ行けるようにしていただけるとユーザビリティがよくなりますのでありがたいですね。
取扱商品について
つぎにマネックス証券のiDeCoで取り扱っている商品についてご紹介します。
取扱商品は、リスク商品21種類、元本確保商品1種類の合計22種類です。
ライバルのSBI証券や楽天証券よりもファンド数は絞り込んでいるのが特徴的です。
元本確保商品
みずほDC定期預金(1年)
元本確保商品としては、シンプルにも定期預金1本だけをセレクト。
マイナス金利になる今ではこのジャンルの場合元本が確保できれば御の字ですので、定期預金で十分ではないかと思っています。
株式
海外株式
海外株式のアセットでは、インデックスファンド3種類、アクティブファンド2種類の合計5種類をセレクト。
商品名 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.20412% | 0 |
たわらノーロード NYダウ | 0.2430% | 0 |
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 0.36612% | 0 |
ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け) | 1.4580% | 0 |
朝日Nvest グローバル バリュー株オープン | 1.9440% | 0.3% |
iDeCoではもっとも選択されるのがこのジャンルなのですが、選択は意外とシンプルです。
インデックスファンドの場合、運用する対象が先進国・新興国・米国とターゲットをきちんと決めたファンドをセレクトしているのが特徴となっています。
また、これらのファンドは現状ではもっとも信託報酬が低いファンドが選択されているのもいいですね。
国内株式
国内株式のアセットでは、インデックスファンド・アクティブファンドをそれぞれ3種類ずつ合計6種類をセレクト。
商品名 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|
DIAM DC 国内株式インデックスファンド | 0.1674% | 0 |
DCニッセイ日経225インデックスファンドA | 0.2052% | 0 |
iFree JPX日経400インデックス | 0.2106% | 0 |
SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ<DC年金> | 1.6200% | 0.3% |
日興アクティブバリュー | 1.6416% | 0 |
スパークス・新・国際優良日本株ファンド | 1.7712% | 0.3% |
インデックスファンドの場合、TOPIX・日経平均・JPX日経400それぞれの指標にあわせたものをセレクトしていますので、どのベンチマークがいいかを選べるのがいいですね。
アクティブファンドについては、長期間成績の良いものをあえて選択しています。
私はインデックス投資派なのですが、スパイス的に少し入れるのもいいのではないかと思いました。
債券
国内債券
国内債券はシンプルにインデックスタイプ1種類のみをセレクト。
商品名 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|
三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) | 0.1296% | 0 |
国内債券のアセットでは、超低コストである三菱UFJ 国内債券インデックスファンド1種類のみを取り扱っています。
こちらもインデックスファンドのみということでコスト面を重視した結果ではないかと思います。
海外債券
海外債券のアセットでは、インデックスファンドのみ3種類をセレクト。
商品名 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | 0.1836% | 0 |
たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり> | 0.2160% | 0 |
iFree 新興国債券インデックス | 0.2376% | 0 |
海外債券型の場合、こちらもインデックスファンドのみ3種類を取り扱っています。
こちらも選択しているジャンルが明確で、先進国・為替ヘッジ型先進国・新興国と選択しやすくなっていますね。
REIT
REIT(不動産投資信託)は、国内REITが2ファンド(インデックス・アクティブ各1)、海外REITはインデックスファンドのみ1種類をセレクト。
国内REIT
商品名 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|
DCニッセイJ-REITインデックスファンドA | 0.2700% | 0 |
野村J-REITファンド(確定拠出年金向け) | 1.0260% | 0 |
国内REITはローコストなインデックスファンドとアクティブファンド1種類ずつ選択できるようになっており、こちらもシンプルな構成です。
海外REIT
商品名 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|
三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.3024% | 0 |
海外REITはローコストなインデックスファンドのみというセレクトとなっています。
こちらもアクティブファンドになるとコストがグンとアップするため、インデックスファンドで十分ではないかと考えています。
コモディティ
コモディティ(商品)のアセットでは金に投資するファンド1種類のみをセレクト。
商品名 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり) | 0.3996% | 0 |
こちらもシンプルに金に投資するファンド1種類のみです。
しかも信託報酬が年0.4%を割り込むローコストなものが採用されています。
本来投資するアセットは株式や債券などがメインとなるため、コモディティはスパイス的に少し入れる位で良いのではないかと思っています。
そのため、金に投資するファンド1種類で十分ではないでしょうか。
バランス
バランスファンドでは、ローコストなインデックスファンド・アクティブファンド各1種類を取り扱い。
商品名 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.2268% | 0 |
ラッセル・インベストメント・グローバル・バランス 安定成長型 | 1.2312% | 0 |
投資する分野が多くなるとどうしても選択肢が多くなるため、ファンドの選択が難しくなります。
そこでありがたい存在となるのがバランスファンドです。
マネックス証券のiDeCoでは、ローコストインデックスファンドのeMAXIS Slimシリーズで人気のeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)が取り扱われています。
こちらは8種類のアセットを12.5%ずつ投資するといういわば全部のせ
的な商品で、しかも他の8資産均等型ファンドよりも低い信託報酬となっています。
ちなみに管理運営費用がゼロ円の金融機関のうち、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)を採用しているのはマネックス証券のみとなっています。
選択肢が迷ったときにはこれを選択しても失敗ではないと私は思っています。
手数料について
つぎに手数料について見てみましょう。
iDeCoはさまざまな手数料がかかります。
マネックス証券だけでなく、「手数料ゼロ」をうたっている金融機関は運営管理手数料という金融機関の取り分の手数料がゼロとなっています。
そのため、国民年金基金連合会や信託銀行へ毎月拠出した資金から手数料が徴収されますので気をつけていただければと思います。
ちなみにiDeCoで資金を拠出するには以下の手数料がかかりますのでごらんください。
A:毎月資金を拠出する場合
手数料徴収先 | 金額 |
---|---|
国民年金基金連合会 | 月額103円 |
信託銀行 | 月額64円 |
合計 | 月額167円 |
B:新たな掛金積立を行わない場合(運用指図者)
手数料徴収先 | 金額(税込) |
---|---|
信託銀行 | 64円 |
新規加入時や給付・還付、そして金融機関を乗り換える際にも手数料がかかります。
C:手続時にかかる手数料
手数料の種類 | 支払先 | 金額(税込) |
---|---|---|
新規加入手数料 | 国民年金基金連合会 | 2,777円 |
給付手数料 | 信託銀行 | 432円(1回あたり) |
還付手数料 | 国民年金基金連合会 | 1,029円(1回) |
信託銀行 | 432円(1回) | |
移換時手数料 | マネックス証券 | 4,320円 |
さすがに運営管理手数料がゼロとはいえ、マネックス証券から他の金融機関に乗り換える際にはマネックス証券への手数料が必要となりますのでご注意ください。
こんな方におすすめします。
いろいろと商品や手数料についてごしょうかいしましたが、私なりにどのようなタイプの方がマネックス証券のiDeCoにおすすめかを考えてみました。
おすすめするのは以下のようなタイプの方です。
- ロボアドバイザーを利用してポートフォリオを構成したい方
-
現状で考えられるもっともローコストなファンドで運用したい方
- ファンドをある程度絞り込んでいる金融機関で運用したい方
ロボアドバイザーを利用したい方
マネックス証券のiDeCoで採用しているロボアドバイザーはかなり使えます。
他のネット証券ではSBI証券がロボアドバイザーを採用していますが、私が使ってみたところちょっといまいちな印象です。
一方でマネックス証券のロボアドバイザーはちょっと細かいかなと思うものの、概ね良い選択をしてくれるのではないかと思います。
ローコストなインデックスファンドで運用したい方
マネックス証券のiDeCoで採用されているインデックスファンドは現在リリースされているものの中で信託報酬がもっとも少ないファンドを中心にセレクトされています。
しかもeMAXIS Slimシリーズの場合、他社がより少ない信託報酬のファンドがリリースされた場合には追随して値下げをしていきますので最低のコストのファンドとなっていく可能性が高いです。
バランスファンドもeMAXIS Slim 8資産均等型ものものが採用されていますのでローコストで多くの資産を運用することができます。
ですので、よりローコストなインデックスファンドを利用したい方にオススメです。
ファンドを絞り込んだ金融機関で利用したい方
ここで採用されているファンド数は21ファンドとライバルネット証券よりも少ないものです。
しかしながら、厳選して採用しているという気持ちが伝わるほど選択されているファンドはおすすめなものばかりですね。
しかも複数のファンドがある資産でも、国内株式だとTOPIX、日経平均、JPX日経400と目指す指標が異なっていますので、どの指標で運用したいかでファンドが決定できる
といった採用のされ方となっています。
ロボアドバイザーではなく、自分で選択したいと考えられている場合にも他社よりも選択することに迷わない印象をもちました。
まとめ:ファンドのセレクトがすばらしいです
今回はマネックス証券のiDeCoについて、採用されている商品やサービスなどについてご紹介しました。
特に私が感じた印象では、インデックスファンドのセレクトがすばらしいということです。
ファンド数が少なく、どうなのかなとも思ったのですが、みてみるとどれもローコストかつシンプルなセレクトがなされていました。
ネット証券では後発となるので、商品選択には留意されたことが伺えます。
ただ、明らかに別会社のサイトにログインしなければならないなどユーザビリティに欠ける印象がありましたので、こちらの改善をしていただけるとより使いやすくなると感じました。
運営管理手数料完全無料のiDeCo金融機関はまだまだ少ないのですが、選択する価値は十分にあるのではないかと私は思っています。
iDeCoの金融機関は長期間お付き合いすることになります。
この記事が参考になれば幸いです。
では、またよろしくです!
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