NISA(少額投資非課税制度)は果たして利用されているのか?
証券会社のホームページにはNISA(一般・ジュニア・つみたて)の利用を促すような項目があるのはご存知だと思います。
ところが、実際に口座数に対してどれくらい利用されているのでしょうか。
今回はNISAが口座を開設後、どのくらい利用されているのかについて考えてみました。
そこからは思ったよりも厳しい現実がまっています。
NISA口座稼働率について
日本証券業協会が発表
NISAの口座稼働率は日本証券業協会が発表しています。
発表の頻度は年4回(3ヶ月ごと)となっています。
以前はNISAのみの発表でしたが、現在はNISA,ジュニアNISA,つみたてNISAが発表されています。
調査対象は大手証券会社5社、ネット専業証券会社の10社分の調査となっていました。
現在では全証券会社の利用率について公表されています。
詳細は以下のページに掲載されていますのでご覧ください。(Excelデータに掲載されています)
NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果について | 日本証券業協会
ようやく口座稼働率が7割に
今回のデータをみてみますと2018年6月末現在
一般NISAの口座数が520万口座に対して稼働している、
つまり実際に買い付けが行われている口座が7割の368万口座となりました。
稼働率は70.8%となりました。
口座稼働率の推移を調べてみると
どうせならとNISAがスタートしてからの口座稼働率の推移を調べてみました。
年ごとのデータを抽出すると
年・月 | 設定口座数 | 稼働口座数 | 稼働率 |
---|---|---|---|
2014.12 | 5,130,914 | 2,330,874 | 45.4% |
2015.12 | 5,897,704 | 3,343,412 | 56.7% |
2016.12 | 6,276,055 | 3,810,085 | 60.7% |
2017.12 | 6,481,987 | 4,097,727 | 63.2% |
出典:日本証券業協会HP
となっています。
初年度は45.1%だったのが4年かけて70%になったとのことです。
ジュニアNISAはもっとひどい
もうひとつのNISAであるジュニアNISAの場合をみてみます。
こちらはもっとひどく2018年6月末の口座稼働率は52.3%です。
口座数もほんとうに少なくたった約152,000口座となっています。
通常のNISAはともかくよりマイナーなジュニアNISAはある程度リサーチをしてから利用しているのかなと思いましたが、
意外にも口座をつくったままほったらかしな状態となっています。
ただ、こちらも通常NISAとともに年を重ねるとともに稼働率はわずかながら上昇しています。
つみたてNISAも厳しい船出
2018年からスタートしたつみたてNISAも同様に厳しいものとなっています。
2018年6月現在の稼働率は約53.9%となっていますので、先行のNISA、ジュニアNISAの稼働率と比較して突出して高い状況ではありません
私はつみたてNISAは投資初心者にむけたものなのでもう少し稼働率は高いものかと思っていましたが、そうではないようです。
感想
そんなにひどいものだったの?
この情報を知って私はそんなにひどいものだったのかと思ってしまいました。
NISAの掛け声は非常に大きいですが、それに利用者がついていっていないということですよね。
証券会社がこぞってNISA口座作らせることで囲い込みを図ったのでしょうが、思ったほどの結果にはなっていないですね。
しかも稼働率が7割に達したとドヤ顔で言われても「お、おう」くらいしか思わないですね。
あまり口座を作られても利用していない理由としては
- 利用限度額が少ない
- 制度自体が複雑(限度額・5年限定・売却分は再利用不可)
- 勧められて口座を開設しただけ
などと考えられますがやっぱり私はNISAの制度自体が非常に複雑なものだからだと思います。
ジュニアNISAはそれがより顕著で5年間しか使えないのに18歳まで引き出せないなんてわけのわからない制度になっています。
できるだけたくさん所得税をゲットしたい財務省と証券投資を推進したい金融庁・日本証券業協会の妥協の産物であるかがわかってしまいます。
唯一の救いは稼働率は制度が作られて以来徐々に上昇していることです。
少しずつは知名度や利用していこうというユーザーが増えてきているのはいいことではないかと感じています。
もうつみたてNISAに一本化してもいいのでは?
これだけPR活動をおこなってもあまり利用されていないNISAなのですから、
私はいっそのことつみたてNISAに一本化してもいいのではないかとも思っています。
今までのNISAの扱いをどうするかは問題になるでしょうが、積立NISAならまだシンプルで使いやすいと思いますので一本化する方向になるのではないかと思います。
ただ一本化にするとつみたてNISAの年間限度額が40万円がどれだけ引き上げられるかが焦点となります。
利用できる投資対象が適合商品のファンドに限られるため、株式や債券などでも利用できるようにする変更は必要ではないかと思いますね。
投信ブログではメジャーだけどやっぱりマイナー
このブログも弱小ながら投資ブログのひとつですので他のブログを参考にさせていただいていますが、
このNISAの話はわりと出てきます。
そのためみんなが使っているのではないかと思いがちなのですが、開設数も520万口座程度のうち360万口座くらいしか利用していない現実をみると
やはりマイナーなのだなと実感しています。
サラリーマンの節税策は少ないから活用すべき
とはいえ私を含めたサラリーマンは節税策というものは少ないものです。
せっかくNISA口座を開設したのならば利用しないのはもったいないと思います。
複雑・使いにくい・投資可能金額が少ないなど不満は多いですが、投資している資産の一部でもNISA口座にすることも立派な節税策の一つです。
なにもしなければ所得税・住民税含めて20.315%の税金がかかってしまいます。
利益の20%が税金として取られてしまうといえば結構大きいものです。
そのためほんの一部でも取られないようにするためにやっぱり活用すべきだと感じています。
私はNISAは限度額いっぱいにするよう活用しています。(ジュニアNISAはデメリットが大きすぎるためあえて利用していません。)
投資方針として節税策は極力利用するように決めていますので、
投資はまずNISA枠をうめることからスタートし、限度額に達したら特定口座に投資するようにしています。
まとめ
今回は日本証券業協会が発表したNISAの口座稼働率が6割しかないことについて考えてみました。
なんだかんだいっても少しずつ稼働率も伸びてきているので、私たちも利用できるものは利用していきたいなと感じられました。
では、またよろしくです!
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