パワーハラスメント(パワハラ)、セクシャル・ハラスメント(セクハラ)、モラル・ハラスメント(モラハラ)などで苦しんでいる方は非常に多いと思います。
私もその一人で、女性同僚からのハラスメントで適応障害からうつ病となり、人生が狂わされました。
そのようななかで、労働者災害補償保険(労災保険)を申請することにして、このたび無事労災認定を受けることができました。
ただ、この労災認定を受けるためのハードルというものは非常に高く、生半可な気持ちでは認定はおぼつかないのが事実です。
決して気軽に「労基に訴える」なんてレベルのものではないというものですね。
この記事では、私が考える精神障害で労災認定を受けたいと感じてらっしゃる方にとても厳しい現実をお話しようと思います。
精神障害での労災認定にまつわる現実
では早速ハラスメントなどで労災認定を目指す方に、現実をお伝えしてやる気をへし折ろうと思います。
認定率3割
一番最初にお伝えしたいことは精神障害で労災認定が認められる割合は3割だということです。
これは、厚生労働省が発行している統計なのですが、自殺を含めて精神障害での認定率はこの数年間を含めても30%台という非常に厳しいものとなっています。
このうち、自殺の認定率が50%弱であることで認定率が高いことから、生きている方での認定率の低さを実感いただけるのではないでしょうか。
出典:令和2年度精神障害に関する事案の労災補償状況(PDF)
あくまで私の肌感覚でもうしわけないのですが、
丸腰で申請するとほぼ撃沈というものが現実というものです。
しかもこの30%台の認定率の前に労働基準監督署で申請用紙を受け取りに行こうとすると水際対策で、申請を思いとどまらせることになります。
私も1時間ほど質問され、必死になって申請書がほしいとお願いしてもらいました。
水際対策を突破して、申請書と申立書(これは厚生労働省ホームページではダウンロードできません)をゲットして、あとでお話する会社からのつらい仕打ちを耐えて申請したもののなかの3割しか認定されないんですね。
長期間の審査期間
次にお伝えしたいのは精神障害での労災認定の審査期間は非常に長いということです。
平均の審査期間は約8.5ヶ月。
私の場合は約10ヶ月でした。
そのなかで一月に1回担当官の方からの電話連絡がひたすら続きます。
宙ぶらりんの状態で長期間過ごすことになります。
これが想像以上につらいんです。認定されるかどうかがずっとわからないことが。
会社の本当の姿が現れる
労災保険の申請書には必ず事業主証明という欄があり、職場の証明を受けなければなりません。
この事業主証明をする企業はごくわずかであるという現実があります。
自分がハラスメントを受けてなんとか労災保険の申請をしようとして、頑張って申請書を書き、会社に証明をお願いしても、私の場合は以下のとおりでした。
「ひめだか氏の当該申請は会社は認めたものではない」旨の「社長名」の書面が添付されていました。
そして、上の画像の部分には会社として認めたものではないと書かれていました。
確かに、事業主証明がなくても労基署は労災申請を受け付けてくれます。
しかしながら正直、会社に否定された精神的非常にダメージが大きいです。
会社でハラスメントを受けたのに当の会社はその事実を認めてくれないというものは、筆舌に尽くしがたい辛いものでした。
私は会社の本当の姿をここで実感しましたね。
孤独との戦い
そして最後にお伝えしたいのは孤独との戦いになるというものです。
証拠集め、聴取、ひたすら待つ時間、すべて孤独なんです。
外部ユニオンなどと連携して取り組める方もいらっしゃるでしょう。
しかし、私の場合には外部ユニオンと連携することなく独りで申立書、反訳書(罵声などの文字起こし)などの証拠づくり、家族を含む聴取を受けるなどなど取り組みました。
しかもネットでの情報は非常に少ないです。
この孤独との戦いも非常に辛いものがありましたね。
次に、私が精神障害で労災申請をするにあたって一度考えていただきたいことをまとめてみたいと思います。
労災申請をするにあたって考えてほしいこと
まだまだ厳しい内容なのですが、ぜひ考えていただきたいことをまとめてみたいと思います。
覚悟、ありますか?
一番最初にお聞きしたいのは労災申請に対して覚悟があるのかということです。
先程お話しした辛い現実が労災申請にはあります。
生半可な気持ちでは心が折れてしまいます。
長期間の審査のあとに出た「不支給」の結果が7割です。
その長期間の宙ぶらりんに耐えられるか、まず自問自答していただきたいと思いますね。
証拠、ありますか?
次に確認しておきたいのは証拠はあるのか?ということです。
証拠とは録画・音声・LINEのスクショ・日記などと言われていますが、証拠の威力は並べた順番となっています。
これを大量にお持ちでしょうか?
録音も1回、2回とかいうレベルではなく、1ヶ月単位で持たれているでしょうか?
日記も数カ月分つけられていますでしょうか?
申請者側が用意しなければならない証拠は非常に膨大なものとなります。
これがなければ労災認定はおぼつかないのが現実です。
家族の理解、ありますか?
上2つ書いていても非常に辛いのですが、最後にもう一つ確認していただきたいことを挙げておきます。
ご家族が労災申請にあたって理解していただけてますか?ということ。
積極的にサポートとまではいかなくても、黙認してくれるレベルでもいいのですが、ご家族の理解はぜひ得てほしいと思います。
冒頭でもありましたが、長期間の審査の割に認定率が低い、これが精神障害での労災申請の現実です。
- すぐにでも新しい仕事してほしいのに、まだ労災の結果がでないの?
- 私、協力したくない
などという状態では厳しいと思いますね。
労災の審査では、かならず本人・職場側への聴取があるのですが、さらには家族への聴取もあることが多いです。
私の場合にも妻が労基署で聴取を受けました。
私の場合には家族が理解をしめしてくれていたのは本当にありがたかったですね。
まとめ:精神障害の労災申請は非常に厳しいです
今回、パワハラなどでの精神障害にまつわる労災申請に対する現実をまとめてみました。
長期間の審査期間があるにもかかわらず、低い認定率。
証拠が大量に必要で、孤独との戦い、家族の理解も必要
そのような現実が精神障害での労災申請にはあります。
私自身この記事を書いていて非常につらい気持ちなのですが、そのような覚悟が足りない方は、
覚悟をもって動けるようになるまで休むか泣き寝入りをおすすめします。
ネットで書かれているのと現実とでは大きな違いがあることをご理解いただければ幸いです。
では、またよろしくです!