日本国内で購入することのできる新興国株式に投資するインデックスファンドはかならず指標に沿うように運用されています。
そのインデックス(指標)の事実上標準となっているものが米国MSCI社が開発した「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」です。
この記事では「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」について以下の点を解説します。
- 構成国はどうなっているの?
- 投資比率は?
- セクター(業種)について
- 指数のパフォーマンスについて
MSCIエマージング・マーケット・インデックスについて
MSCIエマージング・マーケット・インデックスはどのようなものなのでしょうか。
MSCI エマージング・マーケット指数は、新興国23カ国に上場する大・中型株
を対象にしたインデックスです。
現在833銘柄が採用されており、各国市場の
約85%をカバーしています。
出典:MSCI指数パンフレット
ただ、国の数は当初の23カ国に加えてパキスタンが加わり、現在は24カ国となっています。
では、新興国24カ国は以下の国となっています。
【ヨーロッパ・中東・アフリカ】
チェコ・エジプト・ギリシャ・ハンガリー・ポーランド・カタール・ロシア・南アフリカ・トルコ・アラブ首長国連邦(サウジアラビア:2019年5月より)
【アジア】
中国・インド・インドネシア・韓国・マレーシア・パキスタン・フィリピン・台湾・タイ
国についてはMSCI社が随時入れ替えを行っており、最近では以下のように変更がありました。
2014年5月:カタール・UAEをフロンティア市場からエマージング市場へ移行
2017年5月:パキスタンがフロンティア市場からエマージング市場へ移行
2019年5月:サウジアラビア・アルゼンチンがエマージング市場へ移行
(出典:ウォール・ストリート・ジャーナルの記事)
国別投資比率
次に国別の投資比率について見てみたいと思います。
国名 | 割合 |
---|---|
中国 | 30.3% |
韓国 | 14.45% |
台湾 | 11.39% |
インド | 8.17% |
ブラジル | 7.49% |
その他 | 28.2% |
公式の資料(ファクトシート)では以上のように上位5カ国しか掲載されていません。
そのため、この指数にそって運用しているiシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF
(ティッカー:EEM)では国別の投資比率がより詳細に公開されていますので、表にしてみました。
国名 | 割合(%) |
---|---|
中国 | 30.27 |
韓国 | 14.69 |
台湾 | 11.38 |
インド | 7.99 |
ブラジル | 7.39 |
南アフリカ | 7.15 |
ロシア | 3.58 |
メキシコ | 2.90 |
マレーシア | 2.37 |
タイ | 2.36 |
インドネシア | 2.12 |
ポーランド | 1.24 |
チリ | 1.19 |
トルコ | 1.03 |
フィリピン | 1.02 |
いずれの場合にも、中国・韓国・台湾の3カ国で50%以上を占めています。
分野別投資比率
つぎに分野別の投資比率をみてみましょう。
業種 | 比率 |
---|---|
情報技術 | 27.38% |
金融 | 24.27% |
一般消費財・サービス | 9.86% |
素材 | 7.46% |
エネルギー | 7.2% |
生活必需品 | 6.3% |
資本財 | 5.18% |
電気通信サービス | 4.58% |
ヘルスケア | 2.76% |
不動産 | 2.67% |
公益事業 | 2.33% |
情報技術や金融が上位をしめているのは先進国とおなじなのですが、特徴的なのが素材や一般消費財といった製造業が幅を利かせていますね。
やはり新興国市場は製造業がまだまだ強いのがわかります。
上位企業
つぎにこの指数で上位を占めている企業をあげました。
企業名 | 国名 | 業種 | 割合(%) |
---|---|---|---|
テンセント | 中国 | IT | 5.61 |
アリババ | 中国 | IT | 3.83 |
サムスン | 韓国 | 製造業 | 3.77 |
タイワン・セミコンダクター | 台湾 | 製造業 | 3.70 |
ナスパーズ | 南アフリカ | メディア | 2.17 |
中国建設銀行 | 中国 | 金融 | 1.56 |
百度 | 中国 | IT | 1.23 |
中国工商銀行 | 中国 | 金融 | 1.14 |
中国移動通信 | 中国 | 通信 | 1.13 |
中国平安保険 | 中国 | 金融 | 0.99 |
ほとんどが中国企業ですね。
ただ、この企業は結構入れ替わりが激しく、数か月前にランキングに入っていた鴻海精密工業はランキングからはずれました。
そのため、次回の更新時には変更されている可能性が高いです。
指数のパフォーマンス
最後にこの指数がどのように上がり下がりしているかのチャートをみてみます。
2003年からでは以下のように移り変わっています。
出典:MSCI Emerging Market Indexファクトシート
2015年のチャイナショックではさすがに指数がガタ落ちでしたが、2018年には回復するどころか以前の水準を上回っていることがわかります。
まとめ
この記事では、新興国株式インデックスファンドの事実上標準の指数であるMSCIエマージング・マーケット・インデックスについてまとめました。
先進国ではアメリカが上位を占めているのと同様に、新興国市場では中国・韓国・台湾の3カ国で55%を占めていることがわかりました。
また、チャイナショックで新興国市場は終わりかとも言われていましたが、チャートで見る限りそうではなく、回復するどころか以前の水準を上回っていることがわかりました。
これからもこのデータは随時更新していきますので、ファンド選びの参考にしていただければ幸いです。
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